1)僕らの真実 ーーーーーーーーー
「ねえ君は、『真実』はどこに在ると思う?」
「…そんなもの、この目で見た全部に決まってるだろ」
「潔いね。僕は今も昔も、自分の目は半分くらいしか信用してないよ」
「半分?」
「昔はね。僕という存在の『真実』は、僕じゃない人が持っていたから」
「今は?」
「半分の半分、つまり4分の1。人を見ても濃淡でしか判別出来ないから」
「みんな?」
「そう。変わらないのは"彼"だけだよ」
「…じゃあ俺は?」
「その真っ赤な目は、よく見えるよ。守りたかった"彼女"と同じだから」
『黙示の翼』ーーーーーーーーー
シンとキラ
2) 空に墜ちる光と最後に見る夢 ーーーーーーーー
1度だけ、テレビでその映像を見たことがある。
でもそれは他人事で、自分に直接関わりがあるものではなかった。
白い、白い光。
あるとき実際に見てしまったそれは、目が眩む、なんて生易しいものじゃなかった。
まるで、目が灼かれるような。
(なによ、これ)
(どうしてこんなに、綺麗に見えてしまうの)
(怖いのに)
(恐くて堪らないのに)
目を、逸らせなかった。
それから数日は、ずっと白い光に付き纏われた。
『月と太陽』ーーーーーーーー
フレイ
3) 還らぬ星に刻む ーーーーーーーーー
宇宙(そら)に見える星の光は、星との距離だけ時間という次元が違う。
例えば100光年離れた星を、今見上げているとする。
するとつまり、見上げた光は100年前のものだ。
「プラントも地球から見ると、星と似たようなもんじゃん?何となく形は見えるけどさ。
だから、ボクがこーやって見上げたプラントは、地球とプラントの距離だけ時差があると思ってた」
『ハハッ!なにそれ。ここの標準時間はイギリスと同じだよ』
「じゃあ月は見える?」
『月?…は、駄目だ。別のプラントに遮られて。でも、どーしたんだよ?感傷的』
「まあね。ここはアメリカのワシントンで、あの2人はオーブ。で、そっちはプラント。
ホント、バラバラになったな〜って思っただけだよ」
『…うん。でも、独りじゃないから』
「知ってるよ。だから電話とかしてんじゃん」
『うん、知ってる』
そう言って、また星を見上げた。
『運命狂気』ーーーーーーーーー
シンとアウル
4) 夢の欠片 ーーーーーーーーーーーーーーー
人は毎日、夢を見るらしい。
けれど覚えていられる数が少ないから、見る方が珍しいのだと思ってる。
…夢を見た。
珍しい、起きても覚えてる夢だ。
でも、参った。
「どうしよ。顔、分かんねえや」
死んだ両親が出て来た、夢。
顔が霞んで、分からない。
声は優しかった。
けれどあやふやで、あれは本当に両親の肉声だったのか。
「ホント…親不孝ものだな、俺」
6年前のことが、ほとんど靄に包まれて。
3年前のことは、まだ大丈夫。
でも、2年前のことは。
…正直言って、忘れたかった。
『黙示の翼』ーーーーーーーーーーーーーーー
スピネル(オリジナル)
5) 闇に浮かぶ翼 ーーーーーーー
愛機セクメトを失い次の愛機となったのは、まるで正反対のMS。
(…なんていうか、嫌がらせかと思うよね)
ラクスに罪はない。
罪があるとすればそれは、『白』という色に皮肉しか浮かばない己の思考だ。
(『白』は嫌い。洗い流せば済む色、自分に害がないと偽る色)
(やっぱり『黒』がいいな。彼と同じ色)
色認識は、それを纏う人間を象るすべてに依存する。
(だから、彼の機体の色は嫌いじゃない)
白のアルテミス。
呼ばれ始めて、彼の本質を見たような気がした。
(僕らはみんな、彼に守られ生き残った)
白い翼を持った僕は、ただ相手を屠るだけ。
彼以外を守る方法なんて、知らない。
『月と太陽』ーーーーーーー
キラ
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