a)等価価値のもの ーーーーーーーーーー
相手の存在と、等価価値のものはありますか。
「あり得ない」
「ないな、今のところ」
自分の命と、等価価値のものはありますか。
「さすがに命の安売りはしてないよ」
「死ぬ気がないから、ないんじゃないか?」
守るだけの価値があるものは、なんですか。
「カナードに決まってるでしょ」
「…敢えて言うなら自分」
では、貴方の存在価値(理由)は何ですか?
「さあ?」
「なんだろうな?」
『黙示の翼』ーーーーーーーーーー
キラとカナード
b)追いかけて、届かない距離 ーーーーーーーー
ミネルバから飛び立つ、2機のMS。
ZGMF-X10A・フリーダム、YMF-X000A/H・ドレッドノートΗ。
彼ら『GARMR&D』との付き合いも、短くはなくなった。
キラとカナード。
最初は、相性の良いパートナーかと思っていた。
戦い方や、交わす言葉や、互いの力を欠片も疑っていないところを見て。
「俺さ、キラさん大嫌いだけど。でも、あの強さには憧れてた」
「知ってる。あの人たちの強さには、惹かれない方が珍しい」
「あ、やっぱりレイも思う?」
「ああ。もしかしたら、追い付けるかもしれないと」
2人で言い合って、苦笑した。
彼らの強さを目指しても無理なんだと、絶対に届かない距離をようやく悟った。
(他のすべてを…世界でさえも、捨てなければ)
(依存なんて言葉では、決して間に合わない関係性で)
なんて哀しいのだろう。
けれど、なんて羨ましいのだろう。
届かないからこそ、知った今でも憧れる。
『黙示の翼』ーーーーーーーー
シンとレイ
c)永遠に終わらない物語を歌い続けよう。 ーーーーーーーー
あの子はきっと生きたかった。
あの子はきっと生き延びたかった。
本当に死にたい人間が、青空の下で笑うはずがないのだ。
あの子に罪が在ったなら、誰が罪を犯していないなどと言える。
あの子の死が罪のせいだと言うのなら、人類すべてが死に絶える。
そのとき誰かが世界を呪い、
そのとき誰かが世界を嘆き、
そのとき誰かが世界を尊び、
少し遅れて、誰かが「世界は優しい」と呟いた。
『黙示の翼』ーーーーーーーー
誰かと誰か
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