それは本当に、偶然。







-紅玉のヒカリと翠玉のカガヤキ-








「遅いよ、ヨウラン」
「うるせー!近い店ばっか選びやがって!」

小さな路地裏でケータイを打っていたシンは、ようやく来た連れに文句を言った。
その連れであるヨウランの手にもシンの足下にも、結構な量の荷物。

進水式を明日に控えた最新鋭艦ミネルバのクルーである2人。
気分転換がてらに街へ出ようとしたところ、ルナマリアやメイリンに買い物を押しつけられてしまった。
…その結果がコレ。
逆に疲労を背負い込んだような気さえしてくる。

「そろそろ戻る?遅いと2人がうるさいし」

そう言ってシンは荷物を持ち、路地裏から表通りへと出た。






任務のため(表向きは散歩?)に街へやって来たスティング、ステラ、アウル。
連なるショーウィンドウの前で、突然ステラが立ち止まった。

「何やってんだ?あいつ…」

くるくると彼女はショーウィンドウの前で踊り始めた。
立ち止まったアウルに、前を歩いていたスティングも立ち止まる。
「ふん。馬鹿が浮かれてるだけだろ」
嘲笑うかのようにそう言うと、スティングはまた歩き出した。
アウルはその彼とステラを交互に見る。
「お前も馬鹿をやれよ。あいつみたいに馬鹿をさ」
「……」

自分にそう言ったスティングを睨み、そしてステラを見返して、アウルもまた歩き出した。





ドンッ!





「「うわっ?!」」





路地裏から出ようとしたシン。
表通りを通り過ぎようとしたアウル。

2人はものの見事にぶつかった。





「…っと、大丈夫か?」
咄嗟に手を伸ばしたアウルのおかげで、シンはそのまま転けるという難を逃れた。
「え?あ、ありがとう…」
シンはなんだかよく分からないまま、自分を支えてくれたらしい相手に礼を言う。


街中で偶然ぶつかった、ただそれだけのこと。


アウルはずっと先へ行ってしまったスティングとステラを追いかけ、シンは落ちた荷物を拾って帰路へつく。










それは本当に、偶然。










・・・ただその時は、





「そのルビーみたいに紅い眼が」
「その綺麗なエメラルドの眼が」





少し気になっただけだった・・・
















END








あとがき

・・・・・・どうかしてますね。(←今更〜)
日記に書くと宣言してすぐに書き上げた私はいったい…|(ー_ー)|
完璧にツボにハマったようです、この組み合わせ。
種もDも、なんでこう、私は茨道に走ってしまうのだろうか…?
私は好きキャラ2人をくっつけるのが好きみたいなんですが。

この小説は畏れ多くもアウシン同盟様に捧げます。

2004.10.12


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