『フレイっ!!』
「キラ…?!キラぁ!!!」
・・・声ハ届イタノニ…
-届かない手-
差しのべられた手。
その手を取ろうとしたのに……
どんなに伸ばしても届かなかった。
会いたかったのに。
その手を取って貴方に会いたかったのに……
どんどん遠ざかるばかりだった。
・・・戦争を終わらせる、鍵。
それが何なのか私には分からない。
ただあの人の言うままにそう叫んだだけ。
・・・怖かった。
ずっと独りだった。
「元気そうだな、フレイ・アルスター」
アークエンジェルによく似た戦艦でバジルール中尉に出会った。
やっと…知っている人に出会った。
「わああああ…」
途端に溢れ出した涙は止まらなかった。
・・・怖かった。
何も分からない場所でただ独りだけ"ナチュラル"としてそこにいて。
・・・でもこの涙はあの場所から逃げ出した安堵からじゃない。
・・・戦闘が繰り広げられる場所を離れたからじゃない。
・・・自分を知っている人に出会えた安心感からじゃない。
ずっと、あの時別れてからずっと会えなくて。
やっと…やっと会えると思って伸ばした、手。
貴方に届かないこの手はもう、必要ない。
貴方に届かなければ意味なんかない。
神様、これは…彼を傷つけた私への罰ですか……?
END