4年が、経った。
「今日ね、各国の軍が統合されるって発表されたよ」
もう、気付けば4年も経っていた。
「国連の、平和維持軍として統合されるんだって」
4年前、私たちは何を為したのだろう。
「面白いんだよ?だってどの軍のMSも、擬似太陽炉を積んでるの」
世界への問題提起だろうか。
「これで戦争がなくなるって、喜んでる人がいっぱい映ってた」
世界への宣戦布告だろうか。
「ねえ、本当になくなると思う?」
だとしたらそれは、成功したのだろうか。
「アタシはね、そうは思わない」
世界の統一を導いたのは、本当だとしても。
「お嬢様…ふふ、アタシが言うと可笑しい?王留美も、言ってたわ」
私たちは、殉教者じゃない。
「今の世界に満足出来る人間は、居ない。力を持つ人間ほど」
私たちは、罪を背負ったわけじゃない。
「必ず誰かが、何かを始める。だから…準備は怠れない」
そして、イオリア・シュヘンベルグの理念が、死ぬこともない。
「00。それが第4世代の名前。型も何もかも合っているのに、捻くれてるの。
0でもデュナメスでもヴァーチェでも、キュリオスの太陽炉でもドッキング出来なかった」
けれど私は…アタシは、そんな理念なんてとうに捨てた。
「でも、次は絶対に出来るわ。だって、エクシアの太陽炉だもの」
理念でお腹が膨れるわけでも、助かるわけでもない。
「このままの方が、良いのかもしれない。
でもアタシは、"次"が起こるなら早く起きて欲しい」
世界を見渡せる場所に立てることは、特権だけれど。
「だって、00に乗るのは刹那だもの。アレは、刹那の機体だもの。きっと、凄く綺麗」
こうして待つことが出来るのも、言うなればその特権のおかげ。
「あ、時間ね。"お嬢様"のところに戻らなきゃ。また来るね、『刹那』」
アタシは宇宙に来る度に、貴方の目覚めを心待ちにしてる。
「お帰りなさい。どうでした?刹那の様子は」
初代0ガンダムから視線を外し、王は戻ってきたネーナを振り返る。
ネーナは上機嫌な表情を隠さない。
「ん〜、前と同じですよ。あ、でも少し髪が伸びたかな?」
刹那の髪の長さは、短いと言えば短い。
けれど癖が強く、水に濡れたら意外と長いことを知っている。
(次はアタシが切りたいな、刹那の髪。でも、アタシじゃあ上手く出来ない)
そういったことは、2番目の兄であるミハエルが巧かった。
王は頷きを返し、また0ガンダムを見つめた。
「他のパイロットたちは既に目覚めているのに…彼だけは、違うのかしらね」
第3世代の機体は、あの日までにすべて大破した。
無傷で済んだのは太陽炉のみ。
だからこそCBは、次の段階へと計画を移行しようとしている。
ネーナは王の言葉に笑みを深め、軽く肩を竦めた。
「お嬢様は、刹那をよく知らないでしょう?」
彼は"特別"なわけじゃない。
ただ、『ガンダムと共に在る』だけで。
王はクスリと笑んだ。
「あら、ごめんあそばせ。そのうちレクチャーを頼むわ」
パイロットたちについて、データ以外に知らないことは事実だった。
だからネーナも満面の笑みで答える。
「喜んで!」
望むのは、あなたの目覚め
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08.3.30
4年後はネナ刹希望。本気で希望。
20歳なせっつーと年上ネナなんて美味し過ぎる…!