自室の扉を開け、リジェネは図らずも笑みを零した。
「リボンズの言うことも、あながち間違いではないんだよね」
鳥ではない。
だって、彼を宇宙(そら)へ羽ばたかせる翼はボロボロだ。
猫でもない。
なぜなら、一瞬で喉元を切り裂ける凶器を持っている。
扉を後ろ手に閉め、真っ白な布団からのぞいた黒髪を見つめる。
鳥のように飛んでいたけれど、鳥ではない。
猫のように身軽だけれど、猫ほど大人しい生き物ではない。
ベッドの反対側に腰掛け、黒髪の向こう側にある顔を覗き込んだ。
「寝たフリが上手いのか気配に敏感なのか、どっち?」
猫のように丸い赤褐色の眼が、リジェネの紅い眼を見上げた。
眼光の鋭さは、どんな状況に置かれても揺らがない。
リジェネはそれが気に入っていた。
「あんたにはどうでも良いだろう」
「相変わらず、生意気だね」
これだから、この生き物は興味が尽きない。
牙を持った宝と宝箱
ー 綺麗なものには棘がある ー
08.11.2
続き書いてないなあ…と思いつつ。
リジーは好奇心強いけど飽きっぽい、そんな感じ。
→ 閉じる