−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
03)つくならもっと、マシな嘘をつけ。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−



「る、…じゃなかった。ゼロー!!」
「うわっ?!」

ある日、騎士団幹部の拠点であるトレーラーに、1人の男…子供のような…が飛び込んで来た。

「なっ、誰だてめぇ!!」
「ちょっと、セキュリティは?!」

慌てる幹部たちを他所に、話は勝手に進む。

「マオ?!お前、何でここに?!」
「えっ、マオって確か前に…」
「ゼロが捜してた危険人物!!」

焦る幹部たちを他所に、闖入者は満面の笑みで言った。

「ル…ゼロが帰って来ないから遊びに来た!」
「「「…は?」」」

一様に固まった幹部たちには気付かないのか、ゼロは抱きついてきた子供にため息をつく。

「家で大人しくしてろと言っただろ?」
「だってぇ、C.C.が『寂しくなったら騎士団のアジトに来い』って言ったんだもん」
「「「…はぁ?」」」

幹部たちはたった今、ゼロが降りて来た2階への階段を見遣る。
まるでタイミングを図ったように、渦中の彼女が降りて来た。

「なんだ、来てたのか?マオ」
「…C.C.、なぜマオにこの場所を教えた?」
「私はこっちに居た方が楽しいんだ。なら、それを教えない理由がない」
「文句ばかり言う人間が嘘をつくな。大体、マオの事情をよく知っているのはお前だろう。ここは人が多い」
「お前だって知っているだろう。こいつはお前が居ないと喧しくなる」

マオと呼ばれた背の高い子供が、ぎょっとしたようにC.C.を見る。

「えっ、煩かった?!」
「ゼロが居なくなると、口数が増える。寂しさの裏返しじゃないかと私は思うが」
「お前が居れば静かだろう」
「そうじゃない。私では出来ないことの方が多いんだ」

すでに幹部たちは口を挟めない。

「(え、ってゆーか何コレ)」
「(親子に見えるのは気のせい?)」
「(明らかに年齢おかしいだろ)」

そこへ、紅蓮弐式の件で席を外していたカレンが戻って来た。

「ゼロ。戻りまし、た…?」

彼女が見たのは、睨み合っている(ように見える)ゼロとC.C.。
そして彼らをおろおろと交互に見遣る、背の高い男。
他の幹部たちは、カレンが状況をマトモなものに変えてくれると思ったのだが。

「なっ、マオ?!なんでアンタがここに居るの?!」

どうやら見込み違いのようだ。
ゼロ、C.C.、マオの構図に、カレンが加わっただけだった。

「あ、カレン!紅蓮弐式がパワーアップしたの?おめでとう!」
「そうなの!…って、違う!大人しくしてなさいってル…ゼロに言われなかった?!」
「だって!寂しかったんだもん!!」
「そうだ、カレン。マオを独りにしておくより、こっちの方が良い」
「C.C.…あんた、子供は甘やかすだけじゃ駄目なのよ?そもそもの発端はあんたの育児放棄!」

雑務処理を再開した方が賢明かもしれない。
幹部たちは、とても有効的な時間の活用法に思い至った。

「(カレンも知ってるなら、大丈夫じゃない?)」
「(…そうだな)」


ああ、今日は平和だ。




−−− ある日の騎士団。
2008.1.12

ー 閉じる ー