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8話派生、ロロルル(ロロ)
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これからの、計画。
ルルーシュの足枷となっていた帝国側の監視は、すでに無い。
すべての準備も整った。
残る危惧は、

「…結局残るのは、V.V.とやらか」
「そうだね。僕にギアスを与えた存在で、しかも皇帝との契約者」

ルルーシュは、そのV.V.という存在を見たことがない。
従って、対処しようにも方法がない。
どうしたものかと考えたところに、不安に揺れる声が届いた。

「ねえ、兄さん。約束は…本当に守ってくれるの?」

もう何度、聞かれただろうか。
ロロが求めているのは、今までルルーシュが答えて来た言葉ではないのだろう。
だから一度、沈黙を挟んだ。


「…恐ろしいか?"裏切られるかもしれない"という思いは」
「っ?!!」


大袈裟なほどに、ロロの細い肩が揺れた。
携帯電話を握る手が、さらにキツく握られる。
(いや、違うな…)
大事なのは携帯電話ではなく、そこに付けられたチャームだ。

記憶を封じられていたルルーシュが、ナナリーの誕生日にロロへ贈ったもの。

一度は使い捨ててやろうとまで思った、己の監視者。
だが、そうするには遅かった。
…ロロという存在が、ルルーシュに近過ぎた。
加えてあの、皇族として戻ったナナリーの存在が。

実の妹と偽りの弟。

考え続けることが馬鹿らしくなり、ルルーシュは唇に笑みを乗せた。
「ロロ」
「っ、なに?」
「お前の知っている"俺"は、お前に嘘をついたことがあるか?」
「え…?」
ロロは今までの1年を思い返す。

「……ないよ」

約束を破られたと思った日も、考えてみれば違っていた。
自分で自分の行動にパニックを起こしていたあの日(騎士団幹部救出劇の日だ)。
こちらはKMFに乗っていたが、あのとき。
本来の目的であったC.C.は、捕らえられる位置に存在していたのだ。
(そうだ。"兄さん"は、『ゼロ』は、嘘をついたことがない)
ロロが思考に沈んでいる間に、ルルーシュが目の前まで移動して来ていた。
ルルーシュは床に膝を付き、ロロの頬へ手を触れて顔を上げさせる。

「裏切られることを恐いと感じるのは、正常だよ。
そう感じることが出来るなら、大丈夫だ」

なにが、大丈夫だというのか。
そう思わせている本人が。
ロロの声ならぬ疑問を悟ったのか、ルルーシュは柔らかな笑みを浮かべた。
それはいつも、"弟"に向けていた笑顔で。

「お前は暗い場所を生きて来た。ここでの学園生活も、半ば義務だったろう?
それを失いたくないと思うなら、それはお前が変わって来た証拠だ。
人を殺して来た事実は変わらない。当然、俺も同じだな。
けれど、変わることは出来る。明るい場所を選んで、歩くことが出来るよ」

泣きたく、なった。
堪らず、ロロはルルーシュへ抱きつく。
衝動的な行動は、溢れて来た涙を隠すためだったのかもしれない。

「っ、兄さん、」
「うん」
「ルルーシュ、兄さん」
「うん」
「…っ、ぼくは、だれ?」

ロロをあやすように、ルルーシュは彼の頭をそっと撫ぜる。
(運命共同体…。そうだな、本当に)
どちらかが捕らえられれば、もう片方も同じ道を辿るだろう。
だから仕方がないのだと言い訳をして、ゆっくりと、けれどはっきりと答えを与えた。

「ロロ・ランペルージ。"ルルーシュ"の、俺の、『弟』だ」

前に泣いたのはいつだろう。
心の底から、ただ衝動のままにロロは泣き続けた。
…それはまさしく、年相応の『子供』で。
ルルーシュに呼び出されやって来たヴィレッタが、本気で戸惑うくらいに。
いつだって任務優先で仲間さえ殺して来た暗殺者が、泣き喚いていた。



(たとえその言葉が嘘でも、僕はその言葉だけで生きてゆける)

(僕に与えられた言葉だから、それは僕にとっての真実だ)



(いつか、終わる日が来ても)
end.

2008.5.25

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