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結局使わなかったフライング(神は死んだ。R2)
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ああ、やってしまった。
もう殺すなと言われていたのに。
あの場に、ジノ・ヴァインベルグが共に居たのに。

少女について、いろいろと済ませた後だろうか。
ルルーシュはまっすぐに学園地下にある、司令部へやって来た。
後ろにやはり、ジノを従えて。


「ロロ」


ヴィレッタが、ロロから1歩離れる。
自分が関わるべき領域ではないと知っているから。
ロロはルルーシュと向き合っていたが、視線は上げなかった。
もう一度名を呼ばれても、やはり答えない。
次は軽い嘆息が聞こえた。

「…なぜ、殺した?」

場の空気がその一言で呑まれた。
この空間は完全に、ルルーシュのものだ。
ロロは小さな、本当に小さな声で言った。


「あの女が、"ナナリー"と言ったから」


ナナリーという、ルルーシュの実妹の名を出すということは。
それは即ち、ロロという存在を否定することだ。
けれどそれが理由の半分程度だと、きっとルルーシュは気付いている。
だから視線を合わせられない。
合わせればきっと射抜かれて、次には死亡宣告だ。
頬をそっと撫でられ、ビクリと肩が揺れる。

「ロロ」

声が近い。
吐息が耳に掛かる。


「許してやろう。今回のことだけ」


次は亡いよ、たとえ弟であっても。

0距離が、離れた。
「ジノ、後始末は頼めるか?」
「…ある程度なら」
「そうか。可能なところまで頼む」
遠くなっていく彼らの声を聞きながら、ロロは自分の両手を見つめる。
震えているのは恐怖じゃない。

歓喜だ。
end.

2008.7.7

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