真っ白な上質紙の封筒。 差出人の名はないが、押してある印はアッシュフォード家のもの。 宛名は、"ナナリー・ヴィ・ブリタニア"。 「まあ!ミレイさんからですか?!」 嬉しそうに笑った少女に、スザクは何の疑いも無く中の便箋を手渡した。 中身は点字で書かれていて、自分には到底読めないのだ。 (ルルーシュなら、読めるんだろう) ナナリーは受け取った便箋にそっと手を這わせ、読み始めた。 それは、世界の崩壊を描く序曲。
手が、震えた。 何だ、この手紙は。 何を言っているのか、この手紙の主は。 青ざめたナナリーにスザクが声を掛けるが、彼女は次の便箋へ震える指を乗せた。
2枚目の便箋が、落ちた。 「……っ!!!」 声が出なかった。 震えが止まらなかった。 (その名前は、なぜ?) (あの人とは、だれ?) (その場所は、どこ?) その名前は、1年前まで名乗っていた偽名。 あの人は、誰よりも愛する兄のこと。 その場所は、妹である自分が求める兄の、となり。 3枚目の便箋に、手が触れた。
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