呼吸は在る。
鼓動も在る。
ただ、寝ているだけ。

エレンの状態を確認して初めて、リヴァイは己の頬を濡らすものに気がついた。
ぱたぱたとエレンの上に零れ落ちるソレは、一体いつぶりに流したものか。
リヴァイはエレンを見下ろし、微笑う。
「…この俺を泣かせるとは、大したヤツだな」
これだけ『繰り返して』来たのだ、仕方がない。
自分に意味のない言い訳をして、リヴァイはエレンの痩躯を強く抱き締めた。

「エレン」

"幾度も"『繰り返す』中で、とうに気は狂った。
自分だけじゃない。
ミカサもアルミンもエルヴィンもハンジもペトラやミケや彼の同期たちも皆。
気狂いなりに我武者羅に求めて、求めて求めて"また"『繰り返し』て。
「…やっと、手に入れた」
望んだことは、ひとつだけだった。
エレンの生きている未来だけだった。
エレンが夢を叶える未来、ただそれだけだった。

「やっと、見つけた」

ようやく掴んだ、自分たちの夢。
エレンの生きている未来を、これからエレンが生きる未来を。
果てなく続く、牢獄の終わりを。

「やっと、見つけた…!」

ようやく掴んだ、これが『未来』ーーー!

未来を、



2013.8.11

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