あるいは鳥太刀
(2.周りは忙しない)
静かに、鶴丸の部屋へ向かう二振りの姿がある。
「難しく考え過ぎだと思うけどなあ」
「しかし兄者、我々も此処では曖昧な存在だぞ」
髭切と膝丸は声を潜めながら、廊下を歩んでいた。
「まあね。でも薄緑、少なくともあの子は鬼じゃあないよ」
「間違ってはいないが膝丸だ、兄者。…鬼だけが妖(あやかし)というわけでもあるまい」
「そうだね。でも蒼くんが言っていたけど、白くんは御神刀でもあるみたいだよ」
(今日は色で呼びたい日なのか…?)
刀剣たちの機動力や隠蔽力は、種別によって違う。
それは太刀ならば存在と威力を、短刀ならば不意打ちと持ち運びやすさに重きを置かれてきたからだ。
しかし人を殺すか守るかに使われる武器ゆえ、そのための技術を付喪神たちは持っている。
刀を振る技術は元より、その身体の使い方も。
「…さて」
残るは数m先の曲がり角のみ。
髭切は足を止め、小首を傾げた。
「これ以上近づくと、泣かれちゃうかな?」
彼は懐から懐紙を取り出すと、それを慣れた手付きで折っていく。
「折り鶴か?」
「そう。これなら気配も声もないしね」
折り上げた鶴にふぅっと息を吹きかければ、折り鶴はパタパタと羽ばたき先の廊下を飛んで行く。
「…?」
微かに紙を叩くような音がして、鶴丸は顔を上げた。
(折り鶴…?)
飛んできた折り鶴は鶴丸の掌にころりと転がり、それきり動かなくなる。
(この気配は…髭切か)
雛丸は寝入っているが、彼を起こさず腹に回された腕を外せる気がしない。
文机にも手が届かないので、仕方なく飛んできた折り鶴にふぅっと息を吹きかけた。
パタパタと戻ってきた折り鶴が、髭切の前でくるりとUターンした。
膝丸はぽかんと口を開ける。
「は?」
一方の髭切は上機嫌に笑った。
「寝てるみたいだ。静かに行ってくるよ」
「は?!」
果たしてあの折り鶴に言ノ葉でも仕込まれていたのか、膝丸が確認する術はない。
障子から顔を覗かせた相手を見上げて、鶴丸は微苦笑した。
「すまんな。どうにも動けん」
髭切は鶴丸の腹にしっかりと回された白い腕を見て、状況を解した。
「寝る子を起こしてしまうと、面倒だからね」
返す言葉は小声になる。
起きないところを見ると、雛丸が特別気配に敏い、というわけでもなさそうだ。
「疲れたんだろうさ。あれだけ大きな声で泣いていたんだ」
「ふふ。人の赤子もそうだものね」
それで? と眼差しで問うてくる鶴丸に、髭切はよいしょと廊下へ腰を下ろしてから答えた。
「弟がね、心配してるんだ。その子は本当に妖の類じゃないのかって」
鬼を斬った逸話を持つ髭切、蜘蛛の妖を斬った逸話を持つ膝丸。
彼らもまた鶴丸と同じく、人と神世が隣り合っていた平安の生まれだ。
「…それは、俺もまだ少し疑ってはいる」
「おや」
髭切が意外だと目を瞬き、鶴丸は後ろ手に雛丸の頭をゆるりと撫でた。
「だが己が『鶴丸国永』であることに疑いは無いようだし、曖昧なものが無い」
「…なるほど。曖昧さは付け入る隙だからねえ」
だからと言って、すべてを受け入れるかどうかは別の話だ。
「出来るなら、きみたちにはそのまま疑いを残しておいてもらいたい」
「…僕たちでなくても、三条の刀が気づきそうだけど」
もっともなことを髭切が返せば、鶴丸は小さく吹き出した。
「ははっ、それはそうなんだが。あいつらは俺に甘いんだ」
鶴丸が是だと言い切れば、彼らは受け入れてしまうだろう。
「平安生まれでない者は、そもそも妖の気配に疎いしな」
戦国の世は怨念と無念を核とした妖も多かったものだが、何より恐ろしいのは人の妄。
それを知る当時の刀たちは同じ存在である付喪神と上位の神々の他は、人に重きを置いていた。
「甘いのはきみだと思うけどなあ」
「え?」
髭切の呟きは鶴丸には届かず、霧散した。
(何も知らない、何百年も前の自分に情を移さずにいるのも難しそうだし)
分かった、と髭切は頷き立ち上がった。
「程々に見ておくことにするよ。僕たちでね」
鶴丸が安心したように笑う。
「ああ。膝丸にも、『世話を掛ける』と伝えてくれ」
髭切は来たときと同じように、足音を忍ばせ戻ってきた。
「…ってことらしいよ」
「兄者、説明になっておらん」
結論ですら無い言葉尻だけを寄越され、膝丸は溜息を吐く。
髭切は冗談だよと笑い、鶴丸との話と伝言を伝えてやる。
「頼まれたなら、やらねばな」
「ふふっ、きみは良い子だねえ。でも、あんまりツンケンすると雛鳥が泣いちゃうよ」
程々にねと言われて、中々に難しい注文だなと膝丸は声を潜めた。
トトト、と軽い足音が広間の方から駆けて来る。
「あっ、源氏さん!」
粟田口の何振りかは、髭切と膝丸が揃っているとそんな呼び方をする。
「乱藤四郎か。どうした?」
誰だっけと小さく呟く声を漏れ聞いた膝丸が、先手を打って声を掛けた。
乱はこれ幸いと尋ねる。
「もしかして鶴丸さんの部屋に行った? 鶴丸さんとお話できるかな?」
一緒に出掛ける約束してたんだ、という彼に隣の兄を見遣る。
髭切は人差し指を自らの口許に振れ、乱へ教えてやった。
「静かに行けば話せるよ」
「ほんと? ありがとう!」
言うなり足音と気配を殺し、乱は先の廊下を曲がっていく。
「さすが短刀だね」
ひとまず広間に戻ろうかと言った兄に断る理由は特になく、源氏の二振りは元来た廊下を戻り始めた。
*
昼餉を終えた広間では、会議が紛糾していた。
「やき、そりゃあ同じじゃ! さっきも言うたやか!」
「新たに現れた敵の特性は、身を持って知っているだろうが! 雨の厄介さはお前も知らんではないだろう!」
ぎりぎり、と睨み合っていた陸奥守と長曽根だが、不意に双方が脱力する。
「あー…やめやめ。儂らは何をやっちゅうがか…」
「同感だ…」
はあ、と会議を紛糾させていた主なニ振りが首を捻った。
「基本の軍議はこの面子なのになあ。こりゃ面白い状況だ」
茶を淹れなおして来た薬研がからからと笑う。
「今日は長谷部の旦那もいち兄も、口を挟む余裕すらなかったようだし。…三日月の旦那が何も言わねえのはいつものことだが」
「はっはっは」
皮肉交じりに言われても、三日月は鷹揚に笑うだけだ。
同じく言われた長谷部と一期一振もまた、要因が思い当たるだけに苦い顔をしていた。
三日月は敢えてそれを口にする。
「いつもは鶴が仕切ってくれておるからなあ」
それだ(じゃ)、と陸奥守と長曽根が顔を上げた。
「仕切るというか、上手く纏め上げるというか」
長曽根の言葉に、三日月は首肯する。
「まあ、あやつは数多の家を渡ったゆえ、そのような術を身に着けたのだろうなあ」
皆のことをよく見ておる、という彼の意見に、異を差し挟む余地はない。
審神者が呻いた。
「しかし…だからと言って、鶴丸に頼ることは出来ません。鶯丸の話では、私は元よりあなた方のことも二振り目…雛丸は怖がると」
「寝てる間なら大丈夫だよ」
割り込んだ声に顔を向ければ、髭切と膝丸が居た。
「さっき白くんと話してきたんだ。ちょうど雛鳥が寝ていてね」
藤三郎の刀も話しに行ったよと続けられ、誰もが疑問符を浮かべた。
「藤三郎?」
「…藤四郎だ、兄者。乱藤四郎」
「おお、そうだっけ」
髭切が誰かの話をする場合は、察しの良い誰かが翻訳に必要かもしれない。
源氏の二振りも広間に腰を下ろす。
「と言っても、一度雛鳥に警戒されたら二度目は無理かもしれないね」
頑張って、と彼は他人事のように言ってくれた。
三日月が笑う。
「そなたらはまいぺぇすだな」
「君には言われたくないなあ。…纏めるだけなら主でも良いんじゃない?」
「わ、私ですか?!」
「君は僕らの持ち主だよ? 君が決めなくてどうするの」
「うっ…」
正論だ。
正論なのだが。
「指示を出すことなら確かに出来ますが、私は現場に出ないので口を出すわけには…」
あくまで、第三者の視点で進軍と撤退の指示を出すのみだ。
戦に出たことも、ましてや軍人でもない只人が、命の遣り取りを行う現場に手を出して良いわけがない。
「なれば、ひとまず部隊編成を決めようか。今回は無難な形で構わんだろう」
出陣場所は決まっておるのだろう? と三日月に問われた審神者は、慌てて頷いた。
「は、はい! 新橋と池田屋、他は半日遠征です」
「新橋へ行くなら、練度上限の者が良いか」
「機動力があれば申し分ありませんな」
長谷部と一期一振が口を開いた。
広げられた用紙に、条件に合う刀剣を書き出していく。
「半日遠征は遠いが、まあ息抜きで良いんじゃないか?」
薬研は煎餅を盛った器を差し出しながら口を挟んだ。
いつの間に持ってきたのやら。
髭切が煎餅を掠め取りつつ、小首を傾げた。
「遠征かぁ。雛鳥をお土産で釣る、っていう手もあるよねえ」
全員の目が彼に集まったのは言うまでもない。
「長谷部、俺は遠征に行くぞ!」
「馬鹿を言うな! 鶴丸が抜けた穴を貴様が埋めんでどうする!」
長谷部は三日月を一撃で沈めた。
「その話、僕と伽羅ちゃんで乗って良いかな!」
スパーンッ! と隣の部屋と仕切る障子が開かれ、燭台切光忠が唐突に参戦してきた。
「おい待て、なぜ俺まで」
その後ろから大倶利伽羅が燭台切の肩を掴む。
彼を振り返り、まるで疑わない笑顔で燭台切は続けた。
「僕らは鶴さんほど練度が高くないし、鶴さん、鶯丸さんの話だと部屋から出られないだろうし」
退屈するだろうなと思って、と前置いてから。
「雛丸くんに怯えられたままっていうのは、格好良くないよね!」
ぶれない刀である。
「だから、俺は関係な」
「ないわけないよね。伽羅ちゃんってば、昼餉のときからずっと鶴さん捜してきょろきょろしてるよ」
「?!」
「それに雛丸くん。『違う』とはいえ、鶴さんだよ? あの人に拒絶されたい?」
それを是と言う者は、この本丸には居まい。
(余程のドMであれば別ですが…)
審神者の思考が少しぶっ飛んだ。
「ボクも行くっ!」
どんっ、と大倶利伽羅の腰に突撃の如く抱きついてきたのは乱だった。
「っ、おい、乱! いきなり何だ?!」
「鶴丸さんと花街に行けなくなったの! すっごく楽しみだったのに!」
花街? とそちらに気を取られた刀は多かった。
一期一振が目を見開く。
「乱! 昼間から花街などとはしたない…!」
鶴丸殿も鶴丸殿です! と憤慨した兄刀を、乱はキッと睨みつけた。
「いち兄のばかっ! 一番綺麗で可愛い物は、あそこにしか売ってないんだよ?!
それに教えてくれたのは次郎さんだし、行きたいって鶴丸さんに駄々こねたのはボクだもん!!」
そうやっていっつも、鶴丸さんは悪くないのに鶴丸さんを怒って! と怒鳴った乱に、余程楽しみだったのだろうと薬研は苦笑した。
「落ち着け、乱。…それは俺も常々思っちゃいたがな」
鶴の旦那が楽しそうなんで言わなかった、と薬研にまで言われ、一期一振は言葉に詰まる。
「そんなことは…」
考えてみたらあった、かなり。
堪え切れずに三日月が肩を震わせる。
「ふっ…ははは、そうして一期一振を甘やかしておるのは鶴丸だからなあ。そう兄を責めてやるな」
改めて認識してしまった一期一振は、穴があったら入りたい。
「…お、お恥ずかしい限りで」
「細かいことは気にするな」
ちゃっかりと茶の相伴に預かっていた鶯丸に慰められ、相手が馴染みであるがゆえに益々居た堪れない。
「ね、長谷部さん。ボクも行って良いよね?」
「おっ、立候補式かい? なら俺っちも頼むぜ」
手を上げた薬研に、何を言い出すのかと長谷部は奇妙なものを見るように見返した。
「どういう風の吹き回しだ?」
「そんなに珍しいことかい? 俺っちも、たまには鶴の旦那を驚かせる側に回りたいからな」
「ならば私も手を上げましょう」
遠征は心を鎮め、仏道とは何かを考えるに最適です、と唱えたのは数珠丸恒次。
彼は戦いをあまり好まないので驚きはしないが、隣の広間にいたことが意外だ。
燭台切が開け放した襖の向こうを覗いて、陸奥守はついに笑い転げた。
「あっはっは! みんなしてそっちの部屋で聞き耳立てゆう!」
食事が終わり、みな部屋へ戻るなりしていたと思ったのだが。
「いやー、だって…なあ?」
「き、気になっちゃって…」
「遠征、俺も行きたいです!」
襖は開け放たれ、一気に騒がしくなる。
長曽根は内番に割り当てられていたはずの二振りを見上げた。
「加州も堀川も、内番をサボったのか?」
「違いまーす! 正当な勝負の元、俺と堀川が残りました!」
「じゃんけんして、負けた兼さんと安定くんが先に行ってますよ」
抜け目のないことだ。
「ねえ主。今日は無理だけどさ、明日以降なら俺たちも"しふと"変わるよね?」
加州の問いに答える審神者の声を聞いていた愛染が、おやと気づく。
「なあ、蛍。国行は?」
「…ほんとだ、いないね。部屋に戻ったんじゃない?」
蛍丸は明石国行が広間から消えたことに、特に疑問を覚えなかった。
*
しがみつかれた状態では何も出来ず、鶴丸がうつらうつらとし始めた頃だ。
「お邪魔してよろしい?」
あまりに予想外の声で、目がぱっちり開いた。
「………驚いた」
「うん、そんな顔してはるわ」
寝る子を起こさぬよう、静かに話す相手は明石国行だ。
彼は肩を竦める。
「広間がえらい賑やかで、こっちの様子が気になりましてん」
「そうなのか。ここまでは聞こえんからなあ」
しかし、ちょうど良かった。
「すまんが、そこの麦茶を取ってもらえるか?」
「…ほな、ちょっと失礼しますよ」
鶴丸と鶯丸の部屋へ上がり、明石はすっかり汗ばんでいるボトルからグラスへ注いだ麦茶を手渡す。
ゴクゴクと飲み干した鶴丸に、もしやと尋ねた。
「もしかして、ずっと我慢してました?」
鶴丸はバツ悪く頬を掻いた。
「あー…起こすのも悪いかと思ってなあ」
明石もまた、意外だと目を瞬く。
「子ぉらの扱いはあんさんも相当やと思ってましたけど、そういうわけでもないんやね」
意味が掴めず、鶴丸は首を傾げた。
明石は構わずになお問う。
「やっぱり、自分の姿やと勝手が違います?」
鶴丸は眠る雛丸を見下ろした。
「そうだなあ…。俺と同じ成りをしているというのもあるが」
妖かもしれない。
それは髭切へ頼んだように、鶴丸も疑いを拭えぬところではある。
「俺は墓から掘り出される前のことをほとんど覚えていなくてな。もしかしたら、こんな状態だったのかもしれん」
墓から掘り出された後のことも、しばらくの間は曖昧だ。
「今の俺を考えると、誰かが俺を守ってくれていたんだろう。そう思うと…放っておくことも出来なくてな」
太刀『鶴丸国永』の矜持は高い。
深くは関わっていない明石にも、それは彼の立ち振る舞いから察せられた。
ゆえに、雛丸が『自分自身』以外に容易に懐くとも思えない。
(それでも、)
一方で明石は思う。
「…蛍と愛染はあのナリやさかい、遊びたい盛りでなぁ」
「うん?」
明石は鶴丸の後ろに見える雛丸を見つめた。
「あんさんと遊んだ後、二人ともえろう楽しそうに報告してくるんですわ」
こうして驚かされた、三人で何を見つけた、それはもう楽しそうに。
「せやから…すぐには無理でも、雛丸はんとも一緒に遊べたら喜ぶやろう思いましてん」
話の前後は分かっていないだろう。
だが鶴丸は明石へ、にかりと笑ってみせた。
「ははっ、そうだな。それはきっと…雛も喜ぶだろうさ」
騒がしい空気が、広間から本丸の正門へと移動していた。
明石がそちらへ足を向ければ、蛍丸と愛染が目ざとく気づく。
「あー! 国行どこ行ってたの?」
「オレら、遠征に志願しちまったぜ?」
彼らと遠征というのも良いが、明石は働かないのが一番好きである。
「お、さよか。ほんなら気ぃつけて行っといで」
ひらひらと手を振る彼に、またサボりたがり! と蛍丸が溜息をつく。
二振りの隊は、他に乱、大倶利伽羅、燭台切、数珠丸が一緒のようだ。
「鶴兄(にぃ)にお土産持って帰って、驚いてもらうぜ!」
「雛丸って方の鶴兄は、同じもので喜んでくれるのかなあ?」
出掛ける前から楽しそうで、良いことである。
遠征部隊はもう一部隊。
鳴狐、博多、鯰尾藤四郎、山伏国広、宗三左文字、薬研だ。
「それでは皆様、いざ行かん!」
「掘り出しもん、手に入れて来るとよ!」
出陣する第一部隊は、敵が新たな戦力を投下している新橋へ向かう。
「仕方がない。給料分は働くか」
渋々と諦めた三日月が、転移の門へと歩みを進める。
彼の他は小狐丸、にっかり青江、骨喰藤四郎、太郎太刀、山姥切国広のようだ。
「雨が降っていないと良いねえ」
市街地の雨は、戦場として最悪とも言える。
「兄様、油断だけはゆめゆめなさらぬように」
「分かっておる」
小狐丸に念を押され、未練がましく本丸を見返っていた三日月はようやく本腰を入れたようだった。
第二部隊は蜂須賀虎徹、浦島虎徹、今剣、五虎退、小夜左文字、前田藤四郎の編成で出陣する。
「しんせんぐみにかわって、あそこのてきをけちらしますよー!」
「油断せずに行きましょう!」
*
正門の、言うなれば建物を挟んだ反対側にある鶴丸の居室は、静かだ。
「俺は出陣出来るのかねえ…?」
鶴丸は雛丸を起こさぬようそっと身体を横にして、彼を抱きかかえるように居心地を整え目を閉じた。
あるいは鳥太刀
(みんながわちゃわちゃし過ぎて、雛丸顕現から2時間位しか経ってない!)
2016.8.28
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