6.








四角く切り取られた空は、見事なまでの夕闇と夜のカーテンを靡かせている。
その窓辺に佇む姿はあまりに静謐で、自身の息遣いさえ殺してしまう。
(だって、彼は)
この世界の彼は、紛うことなき『現人神』。
人はみな死ねば神になると云うけれど、きっと彼は違う。
(…それでも)
大切な、誰よりも会いたいと願った彼は。

「 アテム 」

こちらを振り返った深紅の眼(まなこ)が、驚きに見開かれた。
声を出したことで金縛りは解け、足は勝手に踏み出される。

「 相棒…? 」

彼の戸惑いを消す暇さえ惜しく、遊戯はアテムの身体を抱き締めた。
その背をアテムが抱き締め返すまでに、そう時間は掛からず。
「ずっと、…ずっと、会いたかったよ。もう1人のボク」
ほんの少し身体を離して正面から顔を覗き込めば、アテムはふわりと柔らかな笑みを浮かべた。
「俺もだ、相棒。また会えて……本当に嬉しい」
「……うん」

言葉はもう、要らない。
End.


2018.10.16
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