鋭く風を切る音に、揃って空を見上げる。
「なんだ?」
すると空に見えた影がみるみる大きくなり、青いドラゴンが現れた。
タイキたちは目を丸くする。
「キリハ?!」
「メイルバードラモン!!」
青いドラゴンのようなデジモンの背に、金の髪をした少年が乗っていた。
「…まだ、他にも人間が居るのか」
カイザーレオモンの呟きは、誰に聴かれることもなかった。

『ナイトホーク!』

彼らはタイキたちには目もくれず、タクティモンへと攻撃を仕掛けた。
放たれた攻撃は相手を押し返すだけの威力があったが、タクティモンは傷1つなく、崖上へと飛び上がる。
本来なら、身体がバラバラに砕けてもおかしくはない威力だ。
「ほう、ブルーフレアのジェネラルとは、貴様のことか。
なかなかに強力なデジモンを配下に治めているようだな」
タクティモンの言葉に、金髪の少年…キリハは笑う。
「バグラ軍三元士、最も戦闘能力の高いタクティモン。
…フッ、まさかダークエリアから出てきてくれるとは、好都合だ」
なあ? メイルバードラモン。
自信に満ちたその態度は、タクティモンの闘志を漲らせる。

「ほほぅ? やってみよ、ブルーフレア」

ドルルモンは、崖上から視線を外さないタイキたちに苛立つ。
「急げ! まだボルケーモンが残っている!」
「待ってくれ! その前にクロスローダーを取り返さないと」
奪われたクロスローダーには、コードクラウンが保存されている。
「でも、どこに?」
「…こっちだ。オレが案内する」
いつの間にか、ブルーメラモンが傍にやって来ていた。
身構えるタイキたちだが、彼はドルルモンを意味ありげに見つめるだけだ。

「あんたに助けられた借りを、返すときが来たようだ」

奪われたクロスローダーを探すタイキたちは、ドルルモンとブルーメラモンの関係性に疑問を持つ。
どう考えても、彼らは敵同士のはずだ。
ドルルモンは固く口を閉ざしていたが、やがて語り出す。
「…オレは、元はバグラ軍だ。あのタクティモンの配下のな」
「えっ?!」
「なんだってぇ?!」
あるエリアを攻撃する作戦で起きたこと、気づいてしまったこと。
それを彼は淡々と語った。
「オレは、バラバラになってしまったDWを1つに戻すという志の元、バグラ軍に入ることを決意した。
…だがバグラ軍に属していたことは、今となってはオレの生きてきた中で最大の汚点だ」

ボルケーモンから火山弾が噴射され、ガルムモンとカイザーレオモンは素早く身を躱す。
「チャックモンが居ればな…」
熱くなるばかりの周囲に、ガルムモンである輝二は思わず溜め息を零した。
カイザーレオモンは空を見上げる。
「さっきの金髪の子、どこへ行ったんだろう?」
のんびりと話しているような合間でも、ボルケーモンへの攻撃の手は緩めない。
「まだ倒れないな。…そろそろ、本気出そうか」
「そうだな」
これまた余裕を隠さない2体のビースト型デジモンは、改めて武装を構える。

「いっけぇ! ドルルキャノンーッ!!」

瞬間、後ろからガルムモンとカイザーレオモンを追い越した弾丸が、ボルケーモンへと直撃した。
続いて、タイキたちが洞窟から駆け出してくる。
「2人とも、ありがとう。でもあいつは、オレたちの敵だ!」
叫ぶや否や、タイキは赤いクロスローダーを掲げた。
「デジクロス!!」
3体のデジモンが合体する様を、2体はぽかんと見つめていた。
「なんだ、あれ」
「デジモンって、合体するものなの? スピリットじゃないのに…?」
とりあえず、そう言っている場合ではない。
シャウトモンX3とボルケーモンの戦いで、崖と地盤が崩れ始めている。
「君たち、背に乗って。上へ避難する!」
「あっ、はい!」
キュートモンを抱いたアカリは、カイザーレオモンへ。
ゼンジロウとスターモンたちはガルムモンの背へ飛び乗る。

『ビクトライズブーメラン!』

赤い光が背後を照らし、ボルケーモンが弾け飛んだ。
ボルケーモンのデータは塵となり消えてゆき、輝一はさらに疑問を覚える。
(なんだ? このDWは…)
「おーい! アカリ、ゼンジロウ、大丈夫か?」
下から叫んだタイキに、2人は大きく手を振った。
「大丈夫! この人たちが助けてくれたから!」
崖の上へと登ってきたドルルモンが、ガルムモンとカイザーレオモンへ軽く頭を下げる。
「すまない。助かった」
捻くれ者のドルルモンが、素直に礼を言った。
その事実に誰もが意外性を感じる中、さらに驚くべきことが起こった。
アカリたちがガルムモンとカイザーレオモンから離れると、2体をデジコードが包み、そこには…

「ええっ?!」

2人の少年が。

まったく同じ顔をしているので、双子であるのだと容易に分かった。
「おいおい……嘘だろぉ?」
顎が外れそうなくらい口を開けたシャウトモンに、ハッと思い出したのはやはりアカリだった。

「もしかして、泉さんのお友達ですか?!」

Their crossroad.

>> 後編



end. (2010.9.12)


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