ぽたり、と透明な雫が水に落ちた。
水はゆらりと揺れて、時に紅く、時に蒼く光る。
「ねえ、今度は何が起こるかな?」
無邪気な声が響く。
声はクスクスと笑い、水の中を見下ろした。
天使の国が1つ見える。
その国は今この時、争いに巻き込まれた。
ゆらりと水が揺れて、別のものが映し出される。
悪魔の国。
ここにも争いが広がりつつある。
「分かってて聞くんじゃねーよ」
別の冷えた声が響いた。
それに答えるようにまた無邪気な声が響く。
「でも楽しみだよね、今度も」
「そうだな。頭の良さそうなヤツも多そうだし」
冷えた声も笑った。
無邪気な声は笑みの種類を変える。
「誰か会いにきそう?ここ、見つけられるかな?」
「さあ?来たってどうせ、最後には死ぬだけだ」
「そうだね。でもそれじゃつまんないよ」
「ふ〜ん。じゃ、降りるか?下に」
「降りる!ここよりもっと楽しいよね、きっと」
「知らねーよ。どっちにしろ目的は変わらないんだ」
「世界に安定を」
「世界に平和を」
「世界に静寂を」
「世界に辰星を」
「「世界を滅ぼす者を、世界から滅ぼすために」」
楽しそうに笑う2つの声。
その声は本当に楽しそうに、残酷な詞を紡ぐ。