もっとも気の置けない同僚が、とてもきれいな生き物を拾って来たらしい。
ここ最近、屋敷の中はその話題で持ち切りだ。
そしてよくあることだけれど、その生き物を当人の他には誰1人として見ていない。
「ねえリジェネ。綺麗なものを拾って来たって聞いたけど、本当かい?」
問えば、彼は肖像画の貴婦人のように笑った。
比喩が矛盾するなんて、彼の場合は良くあることだ。
「本当さ。力尽きて倒れてたから拾った」
人間は綺麗なものが好きだ。
この同僚が綺麗だと言うなら、それは余程のものだろう。
「好みが極端な君には珍しいね。それは鳥かい?」
「違うよ。止まり木が無いと生きられない程弱くない。翼も"亡い"」
「ふぅん?じゃあ、猫かい?」
「…似ているけど、それにしては牙が鋭い。まだ噛まれてはいないけど」
「そう。もっと大きな豹あたりかな?」
リジェネの私室へ入れば、きっと見れる。
彼の部屋の鍵は、就寝時以外はいつも開いている。
それでも好奇心で覗かないのは、リジェネを知る誰もが、彼の恐さを知っているからだ。
それにその"きれいな生き物"は、鍵が開いていると知っていて出て来ない。
見てみたいなあ、とリボンズは笑った。
機会があればね、とリジェネが返す。
どちらも見る気はないし、見せる気もないのだ。
趣味が良いのはお互い様
ー 宝物は隠しておくものでしょう? ー
08.10.6
時間軸はCB崩壊半年後くらい。
なんでイノベーターさんはみんなパステルカラーなのかしら。
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