まるでぬるま湯の中に居るような、ふわふわとした思考。
(あ、れ…ここ、どこだろ…)
薄っすらと開いた瞼から覗く世界は、きらきらとしている。
ここは水の中だろうか。
水面のように、遠くに見える何かが光を反射して揺れていた。
(誰か、呼んでる…?)
ここにはエレン以外に誰も居ないし、何も見えない。
揺蕩うような感覚と、心地良い感覚が頭の芯をぼぅっとさせる。
(やっぱり、呼んでる)
エレン、と呼ぶ声がする。
ああ、あそこだ、あの光っている先だ。
(行かないと)
でも、どうしよう。
身体がだるくて、動かせない。
(行かないと…)
せめて、せめて腕だけでも動かないだろうか。
覚束ない思考を何とか総動員して、右腕をゆっくりと上げる。
(届かないかな…)
光を掴むように、手を伸ばした。
こんなものじゃ届かないことは、どう考えても明白だけれど。
(届いたら、良いな…)
ーーーリヴァイ兵長。
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未来を、