リビルド

3.




空の底。
見下ろせば果てない奈落には、文字通り『底』…地面が在る。
日は射さないが、遥か遠くの空の色は分かるものだ。
「…はー、原初獣ってのはこういうとき便利だよなあ」
凝り固まった関節をバキバキと鳴らしながら、ベリアルはひとりごちた。
叩き落されてから数ヶ月。
新天司長と特異点たちに6枚の内2枚の翼を斬り落とされ、相手にも同じだけの手傷を負わせたが満身創痍。
それだけ深かった傷も、この数ヶ月ですっかり修復された。
エーテルを編まれ造られた身体は、時間だけが傷を癒やすに必要なものだ。
ベリアルは感覚を取り戻すように、両の手を開いては閉じる。
「バブさんも落とされたっぽいよなー。ま、無事ならそのうち何かあるだろ」
心配はさほどしていない。
6枚の翼も問題なく羽ばたけそうだ。
「さぁて」
ベリアルには探しものがある。
大方予想はついているが、何処にあるかまでは不明だった。
「適当に捜すには手こずるか」
込めた力で、小さな使い魔を幾つも創り出す。
結晶体を組み合わせ翼を生やしたそれらは、以前にも空の世界を蔓延った。
「さあヴァーチャーズ。ご主人サマを捜してきな」
彼らが空へ昇るのを見送って、ベリアルもまた翼を広げた。

「さぁ、愛しの妻を取り戻しに行こうか」


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2018.5.5
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