喰らう神殺し

(1.あなたの罪を見せましょう)




居並ぶ審神者たちを前にして、白山吉光はふむ、と呟いた。
「全審神者中の10%、さらにその内の3%程度」
最悪として出していた予想よりはマシだろう。
それは白山の属する部署の上司が、ため息混じりに零した言葉でもある。

「では、講義を開始します」

見目の幼い、それも見たことのない刀剣男士が、講師として壇上に立っている。
その何が不満なのか、反発して口を開こうとした者が複数あった。
が、開いた口から声が飛び出ることはなく、金魚のように口を開閉させるだけ。
白山は淡々と告げる。

「わたくしが許可するまで、あなた方の口出しを禁じています。
わたくしの話が終わるまで、聞かぬ手段を取れぬよう縛っています。
あなた方は罪を犯した。それを自覚していただきます」

ここに居並ぶ審神者は、要監察対象として本丸より連行された者たちだ。
優秀な本丸として政府側から任務を受けていた者も居たし、歴史改変阻止戦争が開始された初期から参戦しているベテランも居た。
そこそこの中堅も居れば、1年程度しか経っていない新人も居た。
いわゆる『ブラック』な者は1人も居ないのが特徴か。
そういう者は、ここではない別の場所に連行されている。
「自己紹介を、しておきましょうか。わたくしは、白山吉光。
あなた方がここに勾留されている間に、各本丸で鍛刀可能となっている、新たな刀剣」
ふざけるな、とでも叫ぼうとしたのだろう。
やはり金魚のように無様に口を開ける者たちが居た。
「わたくしのことは、今はどうでも良いのです。あなた方が犯した罪、それはふたつ」
白い指が、ひとつ立つ。

「物の声を聴くことを生業とする、審神者であるにも関わらず、山姥切長義の声を、聴かなかったこと」

ふたつ。
白い指が立った。

「山姥切長義の声を聴かず、山姥切国広を刀解しようとしたこと」

一斉に、居並ぶ審神者が金魚のように口を開閉させた。
言いたいことは、おそらくこうだろう。
『山姥切国広を刀解しようとなんてしていない』と。
だから罪に問われたのだと、彼らは一向に気づかない。
為に、白山が講師なんてことをしている。

「あなた方は、本歌と写しの関係を理解していない様子。己のしでかした罪に、恐れ慄くことでしょう」

3%の内の、さらに0.8%が実例だ。
実例を出してしまった審神者たちは、聚楽第を早々に突破し優評価を得た本丸の主だった。
彼らは何が起きたのか咄嗟の理解が出来ぬまま、政府で教育を受ける羽目になった。
(知らぬは言い訳。これが罰なら、安いものです)
サポートのこんのすけが、前方の白壁にディスプレイを映し出す。

「これは、実際に起きた例です」
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2019.2.28
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