神は非礼を受けず

(2.ある新人審神者の着任)




「…そっかー。だから私は今、誰も居ない本丸を歩いてるのか」
「左様で御座います。今後、こちらへ来ることは御座いませんよ」
管狐を引き連れて、広い家屋の中をてくてくと歩く。
「ちょっと残念だけど、それがベストだよね。私も余計なこと考えるの嫌だし、トラブルなんてもっと嫌だし」
「そうで御座いましょうね」
「ていうかその、一斉摘発で処分された審神者ってさあ、人間なの?」
「はい?」
「だって、相手は人と同じで触れば温かいし喋るし寝起きも食事もするんでしょ?
その相手を折るって、つまり殺したんでしょ。訊いてるだけでゾッとする。平然と人間殺せるの? あり得ない!」
「…まあ、そういう意味では正常ではなかったのでしょうね」
「えっ、まさか精神鑑定で情状酌量とかなってないよね?」
「まさか! 曲がりなりにも神を冒涜したのです。死が褒美となるような罰を受けておりますよ」
「そっかー、なら良かった」
「審神者様は、中々良い性格をしていらっしゃるようで」
「何で? 普通だと思うけど」
「その『普通』を、どうか忘れないでくださいませ」
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2019.1.25
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